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悪質なクレーマーの対処法

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 第35回 悪質なクレーマーの対処法

 第35回はクレーマーへの対処法についてご提案する。

 近年、理不尽な要求をしたり理性を失うほど騒ぎ立てたりするモンスタークレーマーが急増している。そのほとんどは六十代後半から七十代の男女で、平常時は普通の人と変わらず反社会的な勢力と関わりがないが、必ずしも金品を窃取することを目的としているのではなく、相手を威迫または罵倒し自らの要求を押し通すことが目的であり、法や常識が通用しないため解決が難しい。

 商売をするうえでトラブルを予防するには、証拠を残すことが役立つ。契約書がその代表だが、クレーマーは契約書の内容の説明を受けていない、偽造されたと主張することも少なくない。それに備えて契約時やトラブル発生時に会話の内容を録音しておくことが有効である。相手の承諾なしの録音は最善の手段とはいえないが、法的には原則として違法とはされていない。クレームの過程で相手方が法外な金品を要求してきたら、「恐喝罪」を適用できる可能性がある。

 もっとも、クレーマーといえども恐喝をすることは稀だと思うが、不特定多数の者に悪評を言い触らしたり、地元で仕事ができないようにしてやるなどと言うことがあれば、「脅迫罪」が成立するだろう。脅迫には身体に危害を加えることだけでなく、名誉を損なうことも含まれるし、未遂罪はないため実際には損害を受けなくても、脅迫された時点で犯罪が成立する。

 また、トラブルにつきインターネットなどで不特定多数の者に悪評を流布させた場合には、「名誉棄損罪」も成立するかもしれない。名誉棄損罪はその内容が事実かどうかを問わないので、たとえ自社のミスが発端であったとしても名誉を傷つければ同罪に該当する可能性がある。もっとも、訴訟のためや公益目的で公表する場合には犯罪とはならない。

 さらに、クレーマーによる虚偽の告発や風説の流布等により業務が滞ってしまった場合には、「偽計業務妨害罪」または「威力業務妨害罪」を適用できるかもしれない。

 いずれにしても、クレーマーに対しては民事だけでは早期に解決を図ることが難しく、その間に自社の事実無根の悪評が広まってしまう可能性もあるため、刑事告訴も検討できる。ただし、警察に行ってもなかなか相談に乗ってくれないので、刑事告訴や告発を得意とする専門家に相談するとよい。

 実は当事務所も過去に二度クレーマーに攻撃されたことがある。今年の案件では警察を通じて前記の犯罪に該当する可能性があることを警告してもらったところ、相手方はかなり驚いたようで早期に解決できた。

万一、トラブルに巻き込まれたとしても冷静に対応したい。