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愛犬と法律

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 第42回 愛犬と法律

 第42回は愛犬に関わる法律について説明する。

 昨年末、散歩をさせていた小型犬が、ランニング中の男に蹴り殺されるという事件があった。飼い主にとっては家族同然の愛犬を目の前で惨殺されるというショッキングな事件ではあるが、事件が報道されるとネットでは飼い主に対する非難も多く見受けられた。それもそのはず、この飼い主は愛犬にリードをつけていなかったという。報道では犬の行動や男の動機までは明らかにされていないが、リードをつけていれば事件を防ぐことができたかもしれない。

 多くの飼い主にとってリードは、愛犬に進むべき道を教える道案内の道具として理解しているだろう。そのため、飼い主の言うことに従順に従う愛犬であれば不要と考える人も多い。しかしながら、リードには愛犬が他人や他人の財産に危害を加えることを防止する役目もある。他人に危害を加えるとは、噛みついたり飛びかかったりすることを想像するかもしれないが、犬が苦手な人にとっては、足元にまとわりついたり舐められたりするだけでも嫌な気持ちになる。まして、かつて犬に咬まれた人にとっては、小型犬にかわいらしく吠えられただけでも相当の恐怖を感じるだろう。筆者は犬嫌いではないが、顧客の家に招かれた際に仕立ての良いスーツや高級な牛革のカバンを舐め回されるのには閉口する。飼い主にとっては微笑ましい愛情表現とみるのかもしれないが、これらを手入れするには水拭きだけでは対処できずコストもかかるからだ。来客時には愛犬を別の部屋に移動させたりすることもマナーといえる。また、町内で放し飼いにされている小型犬に、飼い主の自宅前を通るだけで執拗に追いかけ回され何度も咬まれるので、警察に通報したこともある。このように、犬を飼っている人と、飼ったことがない人とでは犬に対する認識が大きく異なることを銘記したい。また、ほとんどの都道府県では条例によって犬の放し飼いやリードなしでの散歩が禁止されている。愛犬の安全を守るためにも外出時にはリードを必ず使用したい。

 愛犬が他人を咬んだりして危害を加えた場合には、飼い主には刑法の過失傷害罪が適用される可能性があり、民法の動物の占有者の責任として損害賠償義務を負う。たとえば、足を咬まれて転倒した際に骨折し休業を余儀なくされた場合などは、被害者が経営者や高収入の場合は賠償金額が数千万円に及ぶ可能性もある。ペット保険の賠償責任特約である程度カバーできるが、自動車保険のように無制限に保険金がおりるものではないので、重大事故の場合には飼い主が破綻する可能性もある。

 犬は家族だが、世の中には犬が苦手、嫌いという人もいるし、咬傷事故など不測の事態も予想されることから、飼い主としての責任を十分に自覚したい。