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不動産を購入する前に

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 第36回 不動産を購入する前に

 第36回は、不動産を購入するときに知っておきたい制度や法律について説明する。

 不動産は多くの人にとって人生でもっとも高額な買い物であり、二つとして同じ物件はなく、交換や返金が困難であるため購入前には十分に考慮したい。

 まず、不動産業者との契約には媒介契約と代理契約があるが、通常は仲介とも呼ばれる媒介契約が利用される。媒介契約はさらに一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約に分かれる。一般媒介契約は、複数の不動産業者と重ねて契約できる。専任媒介契約は、他の不動産業者と重ねて契約はできないが、依頼者自身も不動産業者以外の知人等に声を掛けて、売買の相手を探すことができる。専属専任媒介契約は、契約した不動産業者が探した相手としか取引できず、たとえ依頼者自身の努力により相手を探してきたとしても、契約した不動産業者を介しての取引となり、仲介手数料を支払わなければならない。ただし制限が厳しい分、不動産業者も相手を探すために人員や広告費などを投入するため、より良い条件で探してもらえるというメリットがあるので、どのタイプの契約にしたらよいかよく考えたい。

 不動産購入でのトラブルの多くは、購入後に建物の雨漏り等の欠陥つまり瑕疵が見つかった場合である。法律上は、「瑕疵担保責任」と呼ばれ、売買当事者や不動産業者でも発見できなかった瑕疵につき、買主は売主または不動産業者に対して契約を解除または損害賠償請求できるか、そしてその期間を契約前に確認する必要がある。民法上は、瑕疵を発見してから1年以内であれば損害賠償請求できると定めているが、築数十年の中古住宅を購入した場合や、購入後何十年も経過してから担保責任を追及されるのは売主等にとって酷であるため、判例では、損害賠償請求権は物件の引渡しを受けたときから10年で時効により消滅するとした。つまり、この期間内に瑕疵を発見できなければ買主は損害賠償請求できないことになる。もっとも、古い中古住宅などは設備等が老朽化している可能性が容易に予想でき、現状のまま引き渡す、つまり現状有姿として売主は瑕疵担保責任を負わないとする契約も多数あるため、売主も買主も契約内容をきちんと確認したい。

 不動産の購入はどうしても物件の価格のみに関心がいってしまうが、建物の欠陥や隣地所有者などの紛争に巻き込まれると高額な出費になり、訴訟に発展する可能性もあるので、自分が知らずに不利な契約をさせられていないかなど、不動産業者のみならず法律の専門家にも併せて相談することをお勧めしたい。