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期待に応える適切な広告を

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 第37回 期待に応える適切な広告を

 第37回は広告の表示について考えたい。

 昨年、旭川市内のあるラーメン店に行ったところ、ラーメン店が自店のホームページやグルメサイトに投稿した写真や店内のメニューの写真とは全く異なる料理が提供された。公式の写真では丼の周囲から溢れるほどのチャーシューを盛っていたが、実際には同じメニューの大盛りを注文しても、丼の中央に薄っぺらいチャーシューが数枚浮き沈みしているだけ。店主に指摘しても「そのときによって違う」などと詫びるそぶりもなく、今時こんな「炎上」しそうな商法がまかり通っているのかと不思議だった。

 広告にはチラシやコマーシャルのほか、ウェブサイト上に掲載する情報も広告に該当する。広告に関する法律にはさまざまなものがあるが、そのひとつに「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」という法律がある。景品表示法は、「商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行なうことを厳しく規制する」(消費者庁)もので、実際より著しく優良または有利であると見せかける表示を、優良誤認表示として禁止している。たとえば、輸入小麦を混合しているのに「道産小麦100%使用」と表示したり、化学調味料を添加しているのに「無化調ラーメン」などと謳えば、優良誤認表示となろう。もちろん、輸入食材や化学調味料が品質的に劣るわけではないが、消費者としては店舗や商品を選択する上での大きな材料となるだろうから、消費者が気付かないからといって期待を裏切る広告をしてはならない。

 では、今回のように盛り付けや分量が広告と大きく異なる場合はどうだろう。横浜のレストランが9年前、通販で予約販売したおせちが見本と全く異なり酷い内容だったとして連日テレビやネットで日本中の話題となった。この件で店舗が行政処分を受けたという話は聞かないが、店舗や社長の悪評が拡がり、その後も店名を変えて営業を続けたものの閉店したようだ。

 このように、法律により違法、不当と判断されなくても、一度失った消費者の信頼を回復させることは極めて困難である。事件のあった9年前に比べれば現在はSNSの利用者も格段に広まっており、情報発信の速度も規模もはるかに増大している。たった一人の客の感想は口コミやSNS等を通じて数百人、数千人にあっという間に拡がる。料理の味は客の主観的な感想も多く評価が妥当かどうかは難しいが、やはり誠実に商品やサービスを提供するということは今後より重要になってくることだろう。

 ちなみに、提供された商品が明らかに注文と異なる場合、法律上は契約を解除つまりキャンセルすることができる。ただ、他の客もいる中で提供されたラーメンを拒否するのは難しく、連れがいればなおさらだが…。