トップページ > 雑誌掲載・連載記事

「おひとりさま」の人生設計

アルプス国際行政書士事務所電話番号

旭川アルプス国際行政書士事務所
〒071-0173
北海道旭川市西神楽北1条4丁目
TEL/FAX 0166-75-5750

旭川の法律相談(相続/会社設立/交通事故/借金/離婚/探偵など)お任せ下さい!

 第29回 「おひとりさま」の人生設計

 第29回は単身世帯の老後について考える。

 結婚しない、子供をもうけない生き方が認知されてきた一方で、独身高齢者を支える親族や社会も大きな岐路に立たされている。「きょうだいリスク」などと呼ばれ、無職または低所得の高齢の兄弟姉妹を、同じく高齢の兄弟姉妹が支えるが、いずれ共倒れになるおそれがある。結婚をしていれば、夫婦で支え合ったり子供を頼ることができるが、未婚のまま将来の人生設計をせずに高齢になってしまった人たちのなかには、経済的にも人間関係においても苦境に陥る人が少なくない。結局は兄弟姉妹に頼るしかないのだが、余裕のある兄弟姉妹も少なく、昔と違い親族でも物理的、心理的に距離を置く時代であるから、厄介者扱いされたり縁を切られることも多い。親と同居し、親の年金で食べていけるうちは大きな問題は露見しないが、親が死亡して年金が打ち切られると高齢の「子供」は直ちに生活苦に陥る。本来、子育てとは子供が自立できるよう教育することではあるが、高齢の親が自立できない高齢の子供の世話を何歳までしなければならないか、あるいは、晩婚化で子育て真最中の中高年の兄弟姉妹が、同じく中高年の兄弟姉妹の面倒を何歳まで見なければならないか、親族間で大きな不安要素となる。

 ゆえに、結婚しない、子供をもうけない人生を選択する場合には、既婚者よりも綿密な人生設計が必要である。自身が病気または怪我などをした場合、誰が看護を行なうのか、誰が日常生活の世話をするのか、生活費の支払いはどこから行なうのかということを考慮しておかなければならないし、いずれ高齢になれば就労機会も限定され、収入も減少してくるのであるから、老後の蓄えや年金、保険等の備えも若いうちから準備が必要となろう。また、認知症や障害を抱えて金銭の管理ができなくなった場合に、誰に任せるかということも事前に選定しておかなければならず、任意後見契約などの法的制度の利用も検討する余地がある。特に預貯金の引き出しや、入院・手術の同意、介護施設の入所の際の身元保証人などは、友人や知人に気軽に頼めるものではない。多くの単身者は、「何とかなる」と楽観的なのだが、何ともならず、晩年に貧困や親族からの疎外感を味わうのは若いとき以上に辛いものである。

 もちろん、これらの備えは既婚者でも必要である。配偶者と離別または死別する可能性もあるし、子供がいても遠方で頼れないこともあるほか、子供に親を支える資力がないこともある。したがって、未婚者はもちろん、既婚者も将来の人生設計を若いうちに、つまり今すぐにでも行なうべきであり、法律家や法律隣接職に相談すれば、その助言は大いに役立つものと思う。