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施設や病院にいる親の財産管理

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第46回 施設や病院にいる親の財産管理

 第46回は病院に長期入院していたり、介護施設等に入居している親の財産管理について子供ができることをお話ししたい。ここでは、施設、入居、入居者と表記する。

 コロナ渦において、入居者とは親子であっても面会ができない状態が続いている。これまでは親が自由に歩くことができなくても親の自室まで行き会話をすることができたが、現在では親が自分の携帯電話を持っていなかったり、ナースステーションまで歩くことができない場合には、電話での通話もできず、親子間でコミュニケーションを図るのが難しくなっている。また、緊急事態宣言等で移動の制限や自粛が求められ、兄弟姉妹のうち特定の兄弟に親を世話する負担が集中することもある。

 まず、親の入居時には判断能力や意思表示ができることが多いが、それらが衰えてくると、子供が親の財産管理をしなければならない。もっとも、入居すれば金融機関などに自由に行くことができなくなり、実際には入居と同時に親の通帳や印鑑、キャッシュカードを預かるケースが少なくないと思われる。

 子供はおもに親のキャッシュカードを使って現金を引き出し、または振込みによって入居費、医療費、日用品代を施設に支払うことが多い。

 親の財産管理を支援する法的な制度として、成年後見制度がある。判断能力が衰えた本人の代わりに法定代理人としての権利義務を後見人に付与する制度であるが、制度としては非常に利用しにくい。後見人は家庭裁判所により選任され、見ず知らずの専門家が就任することも多く、親族との対立を招きやすいほか、後見人への報酬も負担となる。財産管理についてはすべて裁判所の監督や指示を受けることになり、親族の希望や管理の実態と合わないこともある。

 そのため、ほとんどは前記のように子供が財産を管理することが多いが、親の相続が発生すると兄弟間で大きなトラブルに発展するケースが少なくない。

 親の通帳から多額の預金が引き出され、使途不明となり、兄弟間で紛争が発生する。これを防ぐには、ノートなどに入出金の記録を記載しておき、簡単な帳簿とするとよい。また、通帳に使途を記載しておくことにより帳簿の代わりにできる。そのためには、子供が一旦立て替えておき、実際に請求された金額だけを引き出すことである。50万円とか100万円といった適当な金額を引き出しそれを少しずつ使っていくと、帳簿がない限り自分のお金と区別ができず最終的には使途が分からなくなる。また、例えば入居費と医療費を同日に支払う場合でも、ATMでの引き出しの操作を二回行なうことにより通帳に書き込みやすく、領収書がなくても他の兄弟に説明しやすい。

 信頼していた兄弟に親の財産を横領されていたという不幸な結末を防ぐためにも、財産管理を任された兄弟も、任せた兄弟も事前にきちんと話し合っておきたい。