旭川アルプス国際行政書士事務所
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遺言書を作成するいちばんの動機は、自分の意思通りの相続がなされることにありますが、手続きの大幅な簡略化という面でも有益です。法的に有効な遺言書があれば、前述の被相続人の連続したすべての戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書の提出、実印の押印等が不要になります。
甥や姪など知らない者同士が相続人となるときや、認知症や行方不明者の相続人がいるときには、相続人の確定だけで多額の費用を支出することになりますので、遺言書の作成は多いに有効です。
事実、当事務所で扱う相続手続きのうち約10%~15%が知らない者同士が相続人となるケースです。
また、法定相続人の中に財産を分けたくない者がいるときなども、遺言書であらかじめ指定しておけば、紛争を未然に防止することができます。
さらに、自分が死んだときに法定相続人以外の者に財産を受け継がせたいときや、寄付をしたいときには、遺言書によってのみ、その旨を記載することができます。これを遺贈といいます。
昨今は、インターネットや書籍等で遺言書の書き方を載せているものが多くありますが、自分で作成した自筆遺言のなかには、家庭裁判所の検認において遺言書としては無効とされる例も少なくないため、自分で作成するにしても一度は専門家に相談したりチェックしてもらうことをお勧めします。
また、秘密にしておくべき特別な場合を除き、遺言書を作成する前に家族とその内容を相談するか、遺言書を作成してあることを家族や親族に伝えた方がいいでしょう。
親が法定相続分や寄与分、特別受益等を無視した遺言書を作ると、ときには遺言書そのものが子の間で紛争の種となります。親としては世話をしてくれた長男に全部相続させたいと思っていたとしても、他の子の生活・資産状況や、希望もある程度考慮した方がよい場合もあるでしょう。
自筆証書遺言で有効なもの、有効であっても完璧なものはあまり見たことがありません。遺言書の中で遺言執行者の指定をしておかないと、遺言書がないときよりもかえって時間がかかり遺族の精神的負担が重くなります。